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もっと母に合う施設があるのかもしれない…
そんな思いから、近隣の高齢者施設の見学を始めた頃、
私に、介護についての講演をしてほしいという依頼がありました。
依頼主は、母を自宅で介護していた時お世話になったケアマネージャーさん。
介護のイベントで、経験談を話してほしいとのことでした。
それまで、身近な人にもほとんど話すことのなかった母の話。
しかも、現在は施設に入居していて、自分が介護しているわけではありません。
冷静に話せる自信もなく悩みましたが、恩返しがしたかったのと、
自分の気持ちの整理にもなるかもしれないと思い、引き受けました。
そして、この講演が、母の新たな施設を見つけるきっかけになります。
このイベントには、多くの介護職関係の方が参加していました。
私が「食事もレクリエーションも、危ないからやらないではなく、
リスクをふまえた上で、どうやったらできるかを考えてくれる施設を探している」と話すと、
「まさに、そういう考えを持った方がグループホームを始める。」と教えてくださいました。
「グループホーム」とは、認知症の高齢者を対象にした少人数の施設で、
老人ホームと比べて、個々の状況に合わせたケアが行われやすいと言われます。
こうして人のご縁に導かれ、母は終の棲家を見つけたのでした。
ところで、この講演の際、ある介護士の方にかけていただいた忘れられない言葉があります。
私が、「今は施設で母を見てもらっているので、介護をしているとは言えません。」と話すと、
「施設に預けるのも介護。お母さんのことを考えて、お母さんのために動いているのだから、
あなたはちゃんと介護していますよ。」
とおっしゃってくださいました。
この言葉に、どれほど救われたでしょう。
以来、私は、ようやく人前で
「母が介護施設にお世話になっている」と言えるようになったのです。