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ちょうど、最初の老人ホームを退居することが決まった頃、
私が母の認知症を確信した出来事がありました。
それは、母と一緒に銀行のATMにお金を引き出しに行った時でした。
ATMの前に立った母が、カードもスムーズに入れられず、
画面のどこを押していいかも分からない状態で、困惑していたのです。
それまで何度も使用してきたATMなのに、
まるで初めて触れる子供のように、一人では扱えなくなっていました。
そんな母を見て、私の心は驚きが半分、
あと半分は「やっぱりそうだったのか」という気持ちでした。
母のそれまでの様々な問題行動が、この時やっと腑に落ちたのです。
一番忘れられないのは、母のリアクションです。
普通ならATMの使い方を忘れてしまった自分にショックを受けるはずが、
母は笑っていました。
2年前は、薬の服用を忘れてばかりいる自分に落ち込んで、
「お母さん、何にも分からなくなってしまった」と、
ものすごく悲しそうな顔をしていたのに…。
その後、間もなく、母は病院での認知症検査を経て、
「パーキンソン病に伴う認知症」と診断されました。
母が61歳の時でした。