ANNOUNCER
サンフレッチェに関わるみなさんにとって、
本当に濃く、すさまじい一週間だったと思います。
勝利のみしか考えられなかった天皇杯決勝で、まさかの敗戦。
選手もサポーターも、誰もが打ちのめされました。
さらに追い打ちをかけたのが、
サンフレッチェでともに戦った工藤壮人選手のICU治療の一報。
工藤くんは
そのまま帰らぬ人となりました。
2017年に広島へ移籍し、鮮烈なゴールを見せてくれました。
日焼けに白い歯がこぼれる笑顔が印象的ですが、
明るい、というよりは、穏やかで、優しい人柄で、
高校時代からのおつきあいの奥様とは
うらやましいほど仲むつまじかったです。
めがねの田中とクラブがコラボしてサングラス企画をしたとき、
メンズフロアで1時間近く悩んで悩んで決めていたところは、
細かいこだわりがある人なんだな~と思いました。
私がタイへ一時お引っ越ししたとき、
ちょうど工藤くんもレノファ山口への移籍が決まり、
クラブが私の住んでいた地域にキャンプにやってきました。
私が練習を見に行くのを聞きつけた彼は、
わざわざ練習場の地図を送ってくれました。
トレーニングでしっかり日焼けした姿、
新チームでやってやるぞという気持ちが表れていました。
その後、コロナ禍にオーストラリアのクラブでもプレーしました。
思い通りにいかないことも多かったと思いますが、
人前ではいつも前向きであきらめない姿勢。
将来は素晴らしい指導者にもなったはずですし、
なによりも、家族を大事にしていた人。
ご家族のことが心配でなりません。
そんな中でのルヴァンカップの両チームの横断幕や工藤コール。
サンフレッチェの優勝と選手たちの言葉。
ネット上のたくさんの惜しむ声・・・
私が訃報を受けたのが、21日夜、
ちょうど出張帰りで広島駅の新幹線改札の前でした。
目の前にあったのは、
神獣アーティストの小松美羽さんが描いた
「地球が涙を流した日」という大きな絵です。
鮮やかな色彩で描かれた狛犬や折り鶴、昇天する鳥の魂が
涙越しに見えました。
みなさんの祈りがきっと工藤くんの魂へ届き
家族への慰めにもなっていると願います。
どうか前を向いて歩んでほしいですね。
工藤壮人選手、サンフレッチェのみなさん、
素晴らしいご縁をありがとうございました。