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広島テレビ 放送番組審議会

第586回 広島テレビ放送株式会社 放送番組審議会(報告)

開催日

2020年4月

場所

会議は開催せず書面による審議

出席委員

鶴 衛委員長 以下10人

社側出席

佐野 讓顯社長 以下8人

議事概要
  1. 2020年3月28日(土)25:15~25:45放送の
    『WATCH ヒロシマで生きぬいて ~94歳ヒバクシャの伝言~』を審議しました。

    ▽制作担当者から
    ・被爆75年の今年。開局以来、原爆報道を続けてきた広島テレビにとって "被爆者の高齢化" は大きなテーマの一つ。被爆者の平均年齢は82歳を超えている。その環境下、一人の被爆者、美甘進示さんを追うことにした。
    ・美甘さんは数年前まで被爆体験を語っていたが、高齢となり出来なくなった。番組では、美甘さんの被爆体験と、美甘さんの娘が取り組む継承の活動、美甘さんの人生をアメリカで映画化しようとするスタッフ、そして被爆者の高齢化いう現実、をまとめた。
    ・美甘進示さんとお会いして痛烈に感じたことは、「被爆者の声を直接聞けなくなる日は本当に迫っている」ということ。私が番組で伝えたいと思ったことは4つあった。
     ①壮絶な被爆体験と親子の絆 ②美甘さんが訴える「恨みを持ってはいけない、許す心」 ③被爆者の高齢化 ④記憶を後世に受け継ぐ大切さ
    ・取材を重ねながら、美甘さんに直接聞きたいことがたくさんあったが、その答えを聞くことは、今はもう出来ない。75年という歳月の重みを感じた。
    ・次の世代が受け継いでいくことの大切さを感じるとともに、広島のテレビ局として被爆者の方が元気なうちに証言を記録しておきたいと強く思った。
    ・編集では、被爆者の高齢化を映像で伝えるために、ベッドで介護士が美甘さんの態勢を変える場面や、車いすの乗り降りを手伝うなど "老い" を表すシーンをあえて多く入れ込んだ。こういった思いから番組の最後では、「美甘さんが伝えたかったこと、そしてそれがもう聞けない」ということを表すために、証言を続けてつなぎ、ラストシーンは施設で休む美甘さんの映像で終えることにした。

    ▽委員から
    ・全体の印象としては、とても内容が濃く、メッセージ性のある意義深い番組だった。
    ・被爆体験を受け継ぐことだけでなく、広めていくことも必要。
    ・深夜枠だったのが残念であり、もっと多くの人に見てもらいたいと感じた。また、広島県以外の方がこの番組を見たらどう感じたのだろうかと率直に聞きたいと思った。また、20代や子ども世代に伝えていける番組も今後期待をしたい。
    ・被爆者の高齢化の現実を直視し、後世に受け継ぐ重要性を改めて考える機会となった。ヒロシマの被爆体験を風化させないためにも、大変意義のある番組だと思った。
    ・激動の被爆体験を経た主人公の生きざまに感動した。その父親の姿をニューヨーク在住の娘さんが世界に広めようと書籍を出版したり、映画化を進められていることは、被爆者の高齢化が進む中で残された世代の役割として大きなアピールになると共感した。しかしながら、なぜ主人公の父親は人を恨むことなく許すようになったのか、それを娘さんの口からでも解説が欲しかった。また、もう少し娘さんの出版した本を読んだ米国人の感想や監督や映画スタッフの核兵器廃絶に向けた思いなどを盛り込んで欲しかった。
    ・「過去のあやまちを許す」事がテーマなのか、核兵器のない世界を目指す次世代の役割のあり方がテーマなのか、受け手にシャープに伝わりづらい構成になっていたと感じた。
    ・偶然だとは思うが、コロナウイルス禍の中、社会全体が非寛容になっている状況も時に散見される中で、改めて「許す心」や目を向けるべき視点を教えてくれる番組でもあったように思う。
    ・今回の番組の映像表現は効果的だった。美甘章子さんの本の文章を切り取る形で映像に組み入れたり、被爆の画像をナレーションに沿って差し込んだり、水滴に映る原爆ドームの映像だったり、しゃべり言葉をテロップ化したり、聞き漏らすことなく残像としても残りやすかった。
    ・「ヒロシマ」「ヒバクシャ」がカタカナになっている意味は?との疑問は残った。意味があるなら、解説か説明が欲しいと思った。
    ・児童の前やカメラに向かって話す美甘さんと、ベッドや車いすでの無言の姿の対比は、非常に印象的だった。強い意志を持って語っていた人が、2年でこんなに変わってしまうというある意味の非情さが、視聴者に訴えかけたのではないか。
    ・描きたいことが多すぎて、散漫な印象を持った。美甘さんと父の被爆体験、美甘さんの現状、次女の言葉、撮影スタッフの動きと、30分の番組にしては材料が多すぎたのではないか。
    ・被爆者の高齢化を訴えるには、データが必須だった。生存している人数、平均年齢、語り部として活動している人の数や推移など。漠然と「高齢化」でくくっては、説得力が不十分だった。
    ・美甘さんが語ることができなくなったことに対し、次女はどのような思いを持っていたか知りたかった。「ご苦労さま」なのか、「残念」なのか、それとも「自分が後を継ぐ決意」、なのか。自分の言葉で語ってもらいたかった。
    ・小学生に体験談を話し、「憎しみばかりだとこんなに長生きはできなかった」という進示さんの穏やかな表情に、諦めない勇気、誠実さ、寛大さを感じた。
    ・原爆の悲惨さの次世代への伝承、世界平和への道を考えさせられた良い番組だった。そして「許す心」こそ、私たち広島市民が望んでいる核なき世界平和の実現につながるものだと教えられた。
    ・馬場アナウンサーのナレーションは落ち着いた語りでとても良かった。
    ・今回の番組に限らず、WATCHはいつも質の高い番組を作成していると思うので、ゴールデンタイムでの放送は無理としても、もう少し視聴しやすい時間帯での放送を望む。

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