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今から20年前、私の父は末期の大腸がんで、闘病生活を送っていました。
当時、姉は横浜で就職し、大学4年生だった私も東京に住んでいたので、
福井では母が一人で父の看病をしていました。
こうと決めたら一途に突き進む母。
医師に匙を投げられても、「私が絶対治療法を見つけて治すんだ」と
断食、自然食品、酵素など、ありとあらゆることに四六時中取り組んでいました。
ふくよかな母が、この時ばかりは1年で10キロ以上体重が落ちたほど、
それは全身全霊の看護でした。
あの頃、私が福井にいて、心労をもっと分かち合えていたら、
母は病気になっていなかったのかなと、今でも考えてしまいます。
そして、父が亡くなる数か月前のこと。
帰省していた私は、父の入院する病室で母と並んで座っていました。
その時、私は、母のある“しぐさ”に気が付きました。
膝に置かれた左手の中指が、小刻みに震えているのです。
それは、膝の上で規則正しくカウントするかのような動きでした。
「指が動いてるよ」と注意すると、
「最近、気が付くと勝手に動いてるのよ」と言います。
手を膝から離して何かをしようとすると治まるのに、
じっとしている時、無意識に震えだす指。
今思えば、それはパーキンソン病の典型的な初期症状でした。
発病する1年ほど前、母48歳ごろ(父にとっては最後の旅行)