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ドタバタかいご備忘録⑬ 介護はきれいごとではない
2017.6.6

(ここから飛び降りたら、この日々から抜け出せるのかな。)

それは決して、死にたかったわけではなく、

ただ、今の状況から抜け出したいという思いでした。

そんな私を我に返らせたのは、7か月の娘でした。

私の気持ちを知ってか知らでか、ニコニコ笑いかけてきます。

私は娘を抱きしめて泣きました。

そして、この時、介護はきれい事ではないと、知ったのでした。

それまでは、介護疲れによる自殺や、殺人のニュースを見ると、気の毒な思いの一方で、

それでも命まで落とすなんて…とどこかで考えていました。

しかし、自分が当事者になって初めて、

「こういうことだったんだ」と分かったような気がしたのです。

 

今思えば、私がここまで追い込まれた理由の一つは、

介護の相談ができる相手がいなかったことかもしれません。

自分と同じように親の介護をしている人と話したい、

介護のしんどさから親に優しくできない自己嫌悪を分かってほしい、

夜中の介護はどうしているのか聞いてみたい、と切実に思っていました。

子育て中のお母さんが集まる場は多いのに、介護者が交流できる場はほとんどないことが

残念でした。

 

そんな我が家の転機は、私の仕事復帰でした。

仕事にさしつかえてはならないと、母自身が夜中に私を呼ぶ回数を減らしてくれたのです。

それまでは嫌がっていた夜のオムツを着けることで、トイレの回数を減らし、

ベッドの横に簡易トイレを設置して、自力でトイレに行く努力も始めました。

それでも、少なくとも深夜に1回と明け方に1回は介助が必要でしたが、

起きる回数は半減しました。

また、私の疲弊ぶりを見かねて、夫も母をベッドから起こしたり、

トイレに連れて行ったりと、介護に協力してくれました。

さらに、一番大きかったのは、母と離れる時間ができたこと。

仕事をしている時間は、介護の事を忘れられました。

母と気まずくなっても、仕事でリセットできることが、救いでした。

 

とはいえ、仕事と介護(プラス育児)の両立は、また違った大変さがあるのも事実です。

次回、お伝えします。

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