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精神科の病院に緊急入院した最初の数日間、母は、救急患者用の部屋に入りました。
ここは、ドアノブのない、つまり、自由に外に出ることができない部屋。
家具も洗面所もなく、部屋の隅に扉のないむき出しの便器が一つ。
部屋の真ん中にベッドだけが置かれ、
ナースセンターから中の様子を確認できるカメラが設置されていました。
精神的に不安定な患者が自らを傷つけるなどの危険がないように、とのことですが、
治療とはいえ、この部屋に一日中居る母を思うといたたまれなかったです。
すぐにでも退院させて、家に連れて帰りたい気分でしたが、
「男たちが追ってくる」「盗聴器が仕掛けられている」など、
妄想にとらわれ続けている母を見るとやむを得ませんでした。
最もつらかったのは、面会の帰り際。
「のぶえ!お願い!ここから出して!お願い!」と懇願する母を振り切って帰る時でした。
自分がとんでもなく冷酷なことをしているようで、とはいえ、どうすることもできず、
私は毎日泣きながら帰路につくのでした。