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母が緊急入院したという連絡を受けた日、私は仕事を終えたその足で、
夫と共に精神科の病院へ向かいました。
そこで見た光景は、今でも忘れません。
殺風景な部屋の隅っこに、布団が1組だけ敷かれ、パジャマ姿の母が眠っていました。
私が近づくと、母は静かに目を開け、まるで迷子の子供がやっと親に会えた時のように、
涙を流しながら私にしがみついてきました。
母はひどく混乱していて、「私をモルモットにしようとする悪い男達に追われ、捕まった。」
などと、深い妄想の中でおびえていました。
その姿はあまりに弱々しく、病状の深刻さを痛感した私は、泣きながら母を抱きしめました。
医師いわく、長年パーキンソン病の薬を服用してきた副作用か、認知症からくる幻覚の
どちらか、もしくは両方が複合して起きているのではないか、とのことでした。
この時のとてつもない悲しさは、もしかしたら、母が他界した時以上だったかもしれません。
どう表現したらいいのか…
人生の折れ線グラフが落ちるところまで落ちたような、そんな気持ちでした。