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ドタバタかいご備忘録(57)決断
2019.7.23

もし人工呼吸器を装着しなかったら、親戚に親不孝だと責められるのかな。

医師にも、冷酷な娘だと思われるのではないか…

親の命を前にしたこんな時にまで、悲しいかな、人は体裁を気にしてしまうのです。

 

皆さんは「アドバンスケアプランニング」という言葉をご存知でしょうか。

自分で自分のことが決められなくなった時に備えて、どんな医療やケアを受けたいかなど、

自分の考え方、価値観を身の回りの人に伝えておくことです。

母に足の切断や胃ろうの危機が訪れた時もそうでしたが、

私は母が元気なうちに「もしもの時にどうしたいのか」を聞いていなかったために、

重い選択が自分一人にのしかかり、悩み苦しむことになりました。

普段から将来のことや自分の希望を、家族と話し合っておくことが必要なのです。

 

結局、私は、人工呼吸器をつけない判断をしました。

母を病気から解放してあげたかった、

それが一番の理由でした。

 

母の口から酸素マスクが外され、自然に訪れる最期の時を待つ間、

母と二人きりになった時間がありました。

私は、母に抱きついて泣きました。

母は目を開けなかったけれど、

「お母さん、長い間しんどかったね。私たちのために施設でがんばってくれたんよね。

今まで本当にありがとう。」と声をかけました。

20年前、私は父の死に目に会えたものの、父が亡くなることがどこか信じられず

感謝の言葉を伝えることができませんでした。

あのまま会えなくなるなら、ちゃんと「ありがとう」が言いたかった…、

母には必ず伝えよう…と思っていました。

母は聞いてくれていたかな…。

 

2016年8月28日、午前8時55分、

母、馬場かをるは、急性心不全でこの世を去りました。

68歳でした。

 

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