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褥瘡(じょくそう)の悪化で、整形外科の医師に、左足首から下の切断を勧められた母。
まさか、そこまでひどい状態になっていたなんて…。
青天の霹靂とはまさにこのことでした。
私は、必死で食い下がりました。
「切断以外に、本当に方法はないのですか?」
「切断しないと、絶対に命が危ないのですか?」
「そう言われても、整形外科に行くように言われたというのはそういうことだから。
もう一度、皮膚科で相談してみますか?」
皮膚科に戻り、私は再び医師と話し合いました。
医師は、「若い人なら治る可能性もあるが、お母さんの年齢と体力を考えると難しい。
それどころか、傷口の菌が全身に回り死に至る危険性の方が高い。」と言いました。
悲しいかな、そんな深刻な話を私の隣で聞く張本人の母は無反応。
何を思っているのか、そもそも状況を把握できているのかも分かりません。
自分の足がなくなるかもしれないというのに…。
私は、あきらめたくありませんでした。
老人ホームに入居しているとはいえ、母はまだ60代。
足を失えば、この先2~30年、ますます不自由な体で生きていかなければなりません。
また、この頃の母はほとんど車いすでの生活でしたが、日に何度かは歩こうとし、
介助があれば実際に歩くこともありました。
体力が回復すれば、もっと歩けるようになるかもしれないのに、
切断すれば、ますます歩くことがなくなり、体力はさらに低下するでしょう。
そうなれば、歩く気力すらなくなり、生きる意欲も奪いかねません。
何より、本人がよく理解できない中、切断手術を行えば、
足のない自分を受け入れることができないのではないか。
ショックで、認知症も悪化するかもしれないと思いました。
私は、「今は、切断はしたくない。治らなかったら治らなかったで構わないから、
ひとまず皮膚科での褥瘡治療をしてほしい。切断はその後に考えたい。」と懇願しました。
医師は、困った顔をしながら、しぶしぶ承知してくれました。
こうして、今度は皮膚科での入院治療が始まったのです。