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ドタバタかいご備忘録㉕ 体裁
2018.1.16

母の老人ホームでの生活がスタートしました。

私は、とにかく母に寂しい思いをさせまいと一生懸命でした。

ちょうど、二人目が生まれて育児休暇中だったこともあり、毎日のように会いに行き、

母の話し相手になったり、母を外に連れて出たりしていました。

赤ちゃんを連れてホームに行くと、母はもちろん、

入居している他のお年寄りがとても喜んでくれるのが印象的でした。

 

老人ホームに入居して一番よかったことは、母と私の関係が改善したことでした。

私は、母に孫を会わせて話をするのが楽しみだったし、

母は「そんなにしょっちゅう会いに来なくてもいいよ。あなたも大変なんだから。」と、

私を気遣ってくれました。

同居中、顔を合わせばなじり合い、微笑みあうこともなくなっていたのがうそのように、

昔のような親子関係が取り戻せたのです。

それまでは、一緒に住み、自宅で介護することが、親孝行だと思っていましたが、

離れて住むことで、私は母に対して優しくなれました。

以来、「介護は一人で背負うのではなく、周りに感謝しながら助けていただく。

その方が、介護する側もされる側も幸せなこともある」と感じるようになりました。

 

一方で、この頃の私はどうしても、母が老人ホームに入居したことを、

会社の同僚にも、友人にも言えませんでした。

体裁というのでしょうか。

親の介護を施設にお願いするなんて、親不孝と思われるのではないか。

親の介護もできないダメな人間だと思われるのではないか。

そんな、罪悪感と劣等感、そして恥ずかしさが混ぜ合わさったような気持ちは、

その後長く消えることはありませんでした。

(当時の母)

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