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医師の勧めを断るのは勇気がいるものです。
胃ろうを拒んで、もし母に万が一のことがあったら本末転倒ではないか…とも悩みました。
それでも、私は、母の可能性にかけたいと伝えました。
医師には、「この先、体重が35キロを下回った際には、胃ろうを行わざるを得ない」と
忠告されましたが、ひとまず様子を見ることが許されました。
その日から、私は、母の体重を増やすことを一番に考えるようになりました。
母に会いに行く日は、飲み込みやすいゼリー飲料や、プリン、ヨーグルトなどを
いくつも買って持参。
カロリーが1キロカロリーでも高い物を選びますが、
一袋せいぜい200キロカロリーくらいで、
高カロリーの物を探すのはこんなに大変なことかと気付かされました。
施設の看護師は、医療用の高カロリー飲料をゼラチンで固めて食べやすくし、
毎日出してくれました。
介護士の皆さんも、「今日は、ゼリーを3分の2まで、食べることができました。」とか、
「プリンを気に入って、全部食べられたんですよ!」などと、詳しく報告してくれました。
そんな周りの思いが伝わったのか、母に大きな変化が表れました。
「食べなければ!」という意欲が見え始めたのです。
一つ一つ課題に取り組むかのように、一口一口、一生懸命に食べる母…
私はそんな姿を見て、母を心から愛しく思いました。
その後、母の体重は徐々に増加。
なんとか39キロまで戻すことができ、胃ろうの話は立ち消えとなったのです。