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初めてのショートステイの日、母は朝から、「体調が悪いから行きたくない」
「キャンセルはできないのか」など、後ろ向きな発言を繰り返していました。
「行かなくていいよ」という私の言葉を待っていたのだと思います。
迎えが来ても、「どうしても行かないといけない?」と言って介護施設の方を困らせました。
ケアマネージャーも駆けつけ、再び説得。
最後は私に、「お母さんのこと、見捨てるんやね。」と言って家を出て行きました。
母に言われた「見捨てる」という言葉は、しばらく頭を離れなかったけれど、
「今日は介護の事を気にしなくていいんだ。夜中に呼ばれることはないんだ」
と思ったら、自分の身が軽くなったような感じがしました。
一方で、「帰りたい」と言って周りを困らせていないか、
もしかしたら無理を言って帰ってくるのではないかなど、
結局、母の事ばかり考えていたような気もします。
そんな私の心配をよそに、母は翌日、笑顔でショートステイから帰ってきました。
「すごくよくしてもらって、よかったよ~。
夜中のトイレも、便が出るまでずっと付き添ってくれたんやよ。
お母さん、嬉しくて涙が出そうだったわ。」
満足そうな母の言葉にホッとしながらも、
私は、自分の介護の不十分さを指摘されたようで少し複雑でした。
もちろん、母はそんなつもりで言っていなかったと思いますが、
それが、当時介護に悩んでいた私の偽らざる気持ちです。
その日以降、母は自ら、ショートステイの利用を望むようになったのでした。