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「介護と看護は違う」
…母がかかとの褥瘡(じょくそう)の治療で入院した時に感じたことです。
一般病床はあくまで治療が目的。
もちろん、看護師さんに着替えの手伝いやトイレの介助などはしていただけますが、
基本的には家族による介護が必要です。
私も、仕事があるため、ずっと付き添うことはできませんでしたが、
昼食か夕食時のどちらかの時間に合わせて病院を訪れ、食事の介助をしていました。
また、介護施設ではしていただけた洗濯も、当たり前ですが家族がすることになります。
母の場合、尿意を訴えることが難しく、おむつをはいていても漏れてしまうのと、
体が不自由な分、食べこぼしなども多いため、一日に下着と寝巻がそれぞれ3、4枚ずつ、
よだれが出るので、タオル類の洗濯物も5、6枚にのぼります。
何枚も買いだめするわけにもいかず、毎日持ち帰り、洗い替えを補給しました。
さらに、病院での生活は介護施設に比べ、行動範囲が狭くなりがちです。
ベッドの上にいる時間が長くなり、話し相手も減ってしまいます。
たとえ褥瘡が治っても、筋力が落ちて立ち上がれなくなるのではないか、
脳の刺激が減ることで認知症が進むのではないかという心配も募りました。
即切断でもおかしくない足を治療してくださる病院にはもちろん感謝していましたが、
介護施設のありがたさを痛感した入院期間でもありました。
一方、褥瘡に対しては、入院治療だからこそできる手当が施されました。
患部に一日中、専用の装置を取り付け、
自動的に老廃物や体液を吸引して取り除くことで傷を小さくする方法です。
最初の2週間は、治癒するのか、医師も判断がつかない様子でしたが、
その後少しずつ改善し、1か月が経った頃には装置も取り外されました。
そして、約2か月半後、足を失うことなく退院の日を迎えることができました。
パーキンソン病と認知症を患いながらも、母の気力と体力は、褥瘡に打ち勝ったのです!