アナウンサーブログ

ANNOUNCER BLOG

ドタバタかいご備忘録㊽ 施設の転居を考えた出来事
2019.3.15

いつも「ドタバタかいご備忘録」を読んで下さりありがとうございます。

この備忘録を読んで心配してくださる方が多いので、改めて…

この備忘録は、パーキンソン病と認知症を患い、

2年半前に他界した母の介護から感じたことを思い出しながら綴っています。

病気で苦しみながら身をもって教えてくれた様々なことを、忘れてはいけない!

忘れたくない!と強く思うようになったからです。

今実際に介護をされている方、その心労はいかばかりかと思います。

私も、母が存命中は心の余裕が全くなく、日記も何もつけていませんでした。

でも、備忘録を書き始めると、当時のことがありありと思い出され、

自分でも驚いています。

心配してくださった皆さん、真剣に読んで下さり本当に嬉しいです。

よかったら、もう少しお付き合いください。

 

 

母の食事について施設側と何度も何度も話し合いを重ね、

一時期、普通食が許されたこともありましたが、

やはり、薬が効かず食べられなかったり、誤嚥を起こしてしまったりで、流動食に逆戻り。

この老人ホームで普通食にすることは難しいのかなと思い始めた頃、

施設の転居を考えるきっかけとなった出来事がありました。

ある日、母に会いにホームに出向くと、母が部屋の入り口で倒れていました。

部屋を出ようとして車いすから立ち上がろうとした時に転んだのか、

足元には車いす、体は敷居をまたぐ形で倒れ、顔を廊下の床につけた状態。

床の上には母の口から出たよだれの溜まりができており、髪の毛まで濡れていました。

今さっき倒れたというよりは、倒れたまま10分以上は経過しているようです。

薬が切れて声は出ずとも、

私には母が心の中で「助けて!」と叫び続けているように見えました。

慌てて体を起こし車いすに座らせましたが、よだれにまみれ倒れていた母を思うと切なく、

涙がこぼれました。

廊下にはみ出して倒れていたのだから、だれも気が付かないはずがない…。

食事のお願い以外は介護に口を出すことのなかった私でしたが、

この時ばかりは、ホームに状況説明を求めました。

すると、介護士の方から思わぬ言葉が返ってきました。

「倒れていたほうが安全なこともあるんです。

以前勤めていた施設でも、あえて床に横にならせていました。

介護の業界では、普通のことなんですよ。」

 

私は介護に関しては素人です。

それでも、もし普段、目の前に人が倒れていたら、そのままにするでしょうか。

よだれにまみれた状態を、放っておくでしょうか。

介護はきれいごとではないと分かってはいても、どうしても共感できませんでした。

 

誤解のないように言うと、この介護士さんはいつも母に優しく接して下さっていましたし、

私も信頼を置いていました。

なので、全く悪気がなく、純粋にそういう考えでいらっしゃったのだと思います。

また、介護士の方が皆同じ考えではないでしょうし、

被介護者の家族が皆私と同じ考えでもないでしょう。

介護の理想は、きっと人それぞれなのです。

最新記事


アーカイブ
月を選択