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ドタバタかいご備忘録㊼ 老人ホームへの要求
2019.3.8

私の願いは、母の体の機能をできるだけ維持することと、

認知症の進行を遅らせることでした。

そのため、入居している老人ホームに対しても、

その二つにつながる介護を求めるようになりました。

例えば、レクリエーション。

ホームでは、生け花教室や俳句教室など、

日々、様々なレクリエーションが行われていました。

私は、母の脳の活性化のために、できるだけ参加させてほしいと願いました。

しかし、ホーム側は、ケガの心配を理由に難色を示しました。

パーキンソン病の母は、一日の中で体が急に動かなくなったり、逆に急に動き始めたりと

予測がつきません。

「レクリエーション中に急に椅子から立ち上がって、倒れる危険がある。

スタッフがずっとついて見守れないので、一人で参加させることはできない。」

とのことでした。

家族が同伴するならOKと言われましたが、平日の午後、仕事を休むわけにもいかず、

諦めざるをえませんでした。

 

また、食事については、ホームと何度も話し合いました。

この頃の母の食事は、誤嚥(食べ物が食道ではなく気道に入ること)による窒息を防ぐため、

流動食のような形態でした。

ご飯はおかゆよりもドロドロしていて、

おかずは元の姿が全く分からないペースト状になっていました。

私は、度々「普通の食事に戻してほしい」と掛け合いました。

母は、確かに、薬が切れている時間は物が飲み込みづらくなり、

一度誤嚥を起こしたこともありました。

しかし、薬が効いていれば、自分で箸を動かし、スムーズに飲み込むことができました。

私は、薬が効いてから食事をさせてほしいと頼みましたが、

「一人だけ食事の時間を変えることはできない。

安全上、決められた時間以内に食べなければいけないという決まりもある。」

と断られました。

とはいえ、食事は母にとって唯一の楽しみ。

せっかく薬が効いていても、流動食しか食べられないのはあまりにもかわいそうでした。

さらに、このままでは噛む力や飲み込む力が衰え、体の機能がますます低下してしまいます。

物を噛まないことで、脳への刺激が減り、認知症が進むことも考えられました。

私は、万が一誤嚥を起こしてもホームの方を責めないので、

どうか普通の食事にしてほしいと懇願しましたが、

「もし何かあったら、家族はいいと言っても、対応した職員にとっては

一生消えない心の傷になるんです。」

との返答に、それ以上何も言えませんでした。

結局、家族が一緒なら普通食を食べさせていいということになりましたが、

私が付き添える時間に薬が効くかどうかも分からないので、

状態が悪くても比較的安全に飲み込めて、母の大好物でもあるカレーをよく作って

持っていきました。

「おいしい、おいしい」とカレーをたいらげる母を見るのが、当時の私の喜びでした。

 

 

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