アナウンサーブログ

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被爆証言を聞く
2022.1.21

昨年、89歳の尾崎稔さんという被爆者の方と交流しました。


尾崎さんは修道中学校2年生だったあの日、学校へ向かう途中、

現在の大手町の広島中消防署付近で被爆しました。

原爆投下から76年経っても鮮烈に残っている被爆の記憶。

左半身に大火傷をしながらも炎と煙の中を逃げまどい、
家族や多くの級友を失った記憶を言葉にするのは
私たちが想像を絶するほどの作業だと思います。

ですが、今、命の限り後世に伝え残したいという思いを持たれています。

 

全国の被爆者の平均年齢は83.94歳(21年3月時点)
コロナ禍も追い打ちをかけ、証言活動が制限されて
直接お話を聴く機会が失われています。

 

私もそうした危機感から、尾崎さんには
系列局のアナウンサーオンライン研修で
ぜひ広島県外のアナウンサーにも話をしてくださいと依頼しました。


確かに被爆体験記や詩集など資料も多く残されていますが、
身振り手振りや表情も見ながら言葉を聴くというのは
心への響き方が違うと思います。

 

また実際にお話を聴くと、他の本を読んでも原爆資料館に行っても、
想像力の働き方が変わってきます。

 

尾崎さんは旧中島新町という、
平和公園の南側にあった町で生まれ育ちました。

少年時代絵が得意だったそうで、70歳を過ぎてから、
再び絵筆をとり始め、かつての街並み、県庁や与楽園を描き、
絵を資料館に寄贈してこられました。


こちらはご自宅に飾ってある絵です。

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平和公園が公園になる前、つまり、
原爆が投下される以前の繁華街の様子を知っている
人々の言葉というのはやはり貴重ですね。

 

広島のシンガーソングライターHIPPYさんが続ける
毎月6日の被爆証言活動も貴重な取り組みだと思います。

 

(37歳で亡くなったバースワロウテイルの
冨江洋次郎さんの活動を引き継ぎ、
コロナ禍でも動画配信されています)

 

 

核なき世界の実現に向けて県内外、国内外で
被爆者や遺族たちが背負ってきた被爆の苦しみを
広く受け継いでいくことが大切ですよね。

 


広島テレビでは
「テレビ派」で「つなぐヒロシマ」という原爆関連の企画や、
現代アーティスト小松美羽さんが広島を訪ね、
ヒロシマを題材に祈りの絵を描く企画をシリーズで放送しています。

 

1月24日(月)の「テレビ派」では
「小松美羽 地球の涙」第3話を放送予定です。

今回は、小松さんが原爆資料館を訪れたり、
被爆直後に段原国民学校で救助活動にあたった
加藤義典さんの凄惨な体験を聞いたりして、
一枚のスケッチを描きました。

 

小松さんならではの視点と絵に込めた祈り

ぜひご覧ください。