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映画「ぼけますから、よろしくお願いします」を見ました。
呉出身の信友直子監督が、認知症の実母と耳の遠い実父の老老介護を記録した、
話題のドキュメンタリー映画です。
自分の母も認知症だった私は、この映画がすごく気になっていながら、
実はあまり観たいと思っていませんでした。
母のことを思い出したくないわけではないけれど、
認知症の症状をわざわざ見に行くことに気乗りがしなかったのです。
しかし、「決して深刻な映画ではなく、ユーモアがある」という噂を聞き映画館へ…。
見に行ってよかったです!
評判通り、とてもいい映画で、たくさん笑って、たくさん泣きました。
認知症がテーマなのに笑えるって、意外ですよね?
でも、本当に笑えるんです。
認知症を患いながら、時折、持ち前のユーモアを見せるお母さん。
そして、そんなお母さんがせっかくいいことを言っているのに、
耳が遠くて何度も聞きなおすお父さん。
二人の会話が微笑ましく、その絶妙なバランスは、まるでコントのようでもありました。
私だけではなく、会場じゅうから何度も笑い声が上がっていました。
一方で、私が最も涙が出たのは、温厚なお父さんがお母さんに声を荒げるところ。
妻の認知症を一見、のほほんと受け止めているようで、
当然、介護のしんどさや気苦労もあるのだなと感じました。
他にも、娘が東京に戻る時に、バス停まで見送りに来るお母さんの姿や、
料理ができなくなったお母さんに料理を褒められる悲しさなど、
自分と重なる部分もあり、涙がこみ上げました。
この映画は、認知症の家族がいる方はもちろん、そうでない方にもお勧めしたい一本です。
認知症や介護のイメージが変わると思います。
私自身、「認知症も受け止め方次第で笑えたんだ!」と気づかされたし、
「私はどうして笑ってあげられなかったんだろう。
こんな風に、温かい目で母を見守ってあげればよかった。」と反省しました。
母が生きている間に、この映画に出会いたかったな…。