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ドタバタかいご備忘録(56)揺れる心
2019.7.18

人工呼吸器は、いわゆる延命治療です。

取り付ければ、ひとまず命はつながりますが、何年も意識が戻らないかもしれません。

 

私は、すぐに、横浜に住む姉に電話をかけました。

しかし、家は留守で、携帯もつながりません。

なぜこんな時に…、お願いだから出て!と祈りながら何度もコールしましたが、

どうしても連絡がつきません。

医師から「人工呼吸器はどうするか決めましたか?」と再び意思確認がありましたが、

「もう少しだけ待ってください。」とお願いして、タイムリミットぎりぎりまで

電話をかけ続けました。

しかし、とうとう姉と話ができないまま、決断の時を迎えました。

 

親戚に意見を求めようか?とも考えましたが、

遠く離れた叔父や叔母に現状を分かってもらうこと自体、難しいと思いました。

もう、自分が決めるしかないんだ!

私は覚悟を決めました。

 

まず考えたのは、母だったらどうしたいか?ということでした。

母はもちろん死にたくはないでしょう。

ただ、たとえ命をとりとめても、これから何十年も動けず、話せず、食事もとれず、

ベッドの上で過ごすことになるかもしれません。

49歳でパーキンソン病を発症した母は、20年近くもの間、思うように動かない体を嘆き、

苦しみ、耐えてきました。

それなのに、もっと動かない体で、これから先何年も頑張れだなんて、とても言えない。

かわいそうすぎる。

母はもう十分、病気と闘ったのではないか。

 

一方で、もし私の判断で母の命が断たれたと親戚が知ったら、どう思われるだろう。

それでも生きていてほしかったと責められるのだろうか。

さらには、家族の判断を尊重すると言ってくださっている医師も、

心の中では非情な娘だと思うのかな、などと考えてしまうのでした。

 

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