テレビ派

コーナー紹介

俳句道場

放送日:2017年10月20日(金)

第70回 お題「カープの優勝トロフィーを見ている人々(映像を見て)」(選と評 谷村秀格先生)
<谷村秀格(たにむらしゅうかく)プロフィール>

句の「スケール感」や句の背後の「詩情の広がりや深さ」を重要視する『宇宙流俳句』のパイオニア。『宇宙流俳句会』主宰。1976年広島県東広島市安芸津町木谷生まれ、同町在住。句歴26年

総評

今回のテーマは「カープの優勝トロフィーを見ている人々(映像を見て)」。
最近、毎回のように新しい方からの投句があり、俳句に興味をもってもらえうれしく思います。
一方で「俳句は奥深いもの」、ですから年季がいります。
なので思い立ったが吉日、毎週のように選評がもらえる場は非常に少ないので、この機会をぜひ活かしていただければ幸いです。

この俳句道場で、映像から詠む場合のポイントは原則3つあります。
1. 映像から安易に飛躍せず、作者と映像が一体となって詠まれていること。
2. 映像の気分が出ていること。
3. 作者の解説や映像なしに句を詠んでも、詩として成立(自立)していること。

俳句ではよく「吟行」が行われます。
仲間と旧跡や各所を訪れ、俳句を詠みあうものです。
同じモノを詠みあうことで、いろいろな人の感性の違いに触れることができます。
映像から詠むというのはその疑似体験のようなものでしょう。
優勝トロフィーを中心にして、いろいろな観点から集まった句の数々。
ご自身の句だけでなく、ぜひ道場の句友の句とともに味わっていただけば幸いです。
そうすることでいろいろな気づきや発見があり、感性も磨かれることでしょう。

今回の選句でも、映像から安易に飛躍することなく、映像と一体となって詠まれたと感じられる句を大賞にしました。
大賞句は素朴な実感の句ですが、無理のない詠法で、どこかトロフィーと作者が一体となってよまれたような気分が感じ取れ、お見事でした。
入賞句は、大賞句の堂々たる実感にはもう一歩でしたが、俳句として言葉の働いた上手い詠みぶりでした。

特選は原則、映像の気分を上手くとらえたもの・飛躍しつつも俳句として芸術性の高いもの。
入選Aは原則、映像の気分を伝えるような句。
入選Bは原則、映像から飛躍しているが、カープ優勝の気分の感じられる句。
選外は、飛躍のしずぎ、気分に乏しいもの、などとしました。

ご投句いただいた皆様、放送をご覧いただいた皆さまどうもありがとうございます。
目先の結果に一喜一憂するこなく、毎週の感性を磨くこの機会を楽しんでいただければ幸いです。
お一人様、5句程度まで。どなた様もまずは気軽に「テレビ派ホームページ」トップ画面のバナーからご応募ください!

大賞

「秋深し優勝カップ胸をはり」(ペンネーム「雅」さん 55歳)

堂々たる句で、句意も明瞭。
今回の応募句の中で、最も映像との一体感、すなわち「優勝カップ」との一体感が感じられた句で迷わず大賞にした。
まずもって、「秋深し」により、一シーズン終え優勝を勝ち取ったという安堵感や喜びが季節感とともによく感じられてくる。
「秋深し」は文字どおり「秋が深まりもの悲しさが感じられてくる様子」で、実感としては11月に入ってからであるが、一般には十一月になると冬の季語となるので、今頃の時期によく使われる。
この句のミソはなんといっても「優勝カップ胸を張り」。
「優勝カップ」を傍観し、その見た目の輝きや美しさを述べている句がほとんどであったが、この句は「優勝カップ」そのものの「動き」を述べているところがいい。
「優勝カップが胸を張っている」という無意識からの実感、(そんな気がする)を上手くつかんだ。
「優勝カップ」そのものの息遣いに託して詠むことで、作者と「優勝カップ」が一体となった気分が強く感じ取れるし、ひいてはカープファンである作者、そしてカープファン全員が「優勝カップ」と一体となって「胸を張っている」気分が感じ取れてきて、深く共感を誘う。
「胸を張れる」のは、ここにいたるまで、市民や選手が一体となって正々堂々の戦いを繰り広げてきたからであろう。
その一挙手一投足をつぶさに見守ってきた熱いファンならではの素直な実感の句である。
飾らない素朴な表現であるが故に、「市民に根差した市民球団の優勝の気分」が余計に伝わってくる。
大賞おめでとうございます。次回もぜひご応募ください!
<作句のポイント>
実感(真実・そんな気がする)を何より優先する。

入賞

「トロフィーに映る勇者や紅葉晴れ」(ペンネーム「ベルまま」さん 59歳)

トロフィーに勇者が見えたという実感(そんな気がする)を上手く捉えた。
トロフィーを見ている市民の方々もその輝きの中に、今年のドラマ、そしてまさに勇者を見たにちがいない。
また、実感としてはまだ少し早いが「紅葉晴れ」という季語をもってきているところも、季節感やカープの赤・広がる高揚感の気分が上手く引き出せているようである。
映像を脇においておいて、独立した句として眺めてみてもしっかりと成立している。
いわゆる映像の気分を季語をからめながらうまく醸し出した一句である。
入賞おめでとうございます。次回もぜひご応募下さい!
<作句のポイント>
モノに気分を託す。

広島俳句名人詠(無鑑査) ※入賞10回を経た俳句名人の句を本人のコメント(※印)とともにご紹介(→は選者評)。

・トロフィーの色づく秋の人の群れ(ペンネーム「あや」さん 49歳)
※トロフィーも群衆も高揚し秋色に染まってゆく。その光景です。
→映像全体の気分を見事に捉えた句である。「色づく」が「トロフィ」「秋」の両方にかかるような詠み方が働いている。応募句の中で最も美しい詩情を醸し出したさすが名人という一句。

・賞杯の艶酔いしれる望の月(ペンネーム「リリーアルビデオ」さん 37歳)
※優勝トロフィーの艶やかさがキレイな満月を眺めているように感じ句にしました。
→映像からやや飛躍して幻想性を詠んだ。「望の月」あたりに高揚感を託すところはさすがである。

入選句

特選

・賞杯の眩しく照らす今日の月(ペンネーム「じゅんこバズ」さん 36歳)
→「賞杯・眩しい・照る・月」とイメージが重なってありきたりな関係になっているのが惜しい。詩情をだそうとしているところはよい。夜に飛躍したが次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・トロフィーに曇りはあらず天高し(ペンネーム「ふくろう」さん 39歳)
→トロフィーと天高しは少し近しいが釣り合った関係である。惜しいのは中七の断定表現。断定してしまうと読者は、それ以外に解釈できなくなってしまい読者の自由な解釈をさまたげ惜しい。まだ「トロフィーの磨きぬかれて天高し」などのほうが、どんな美しさだろうかなどと想像の余地が生まれいいのである。味を残して詠むようにしたい。

・受験生、カープの次はオレの番。(ペンネーム「殿様」さん 44歳)
→トロフィーを見ている受験生と一体となった句であろう。新しいお名前であるがあまりにも強い実感に圧倒され採った。スポーツから頑張りがもらえるのもえるのもその魅力でもある。細かいことだが俳句に句読点は必要ないので次回はそのように。まずは575のリズムでどんどん詠んでみていただきたい方である。次回もぜひご投句を!

・新月やトロフィーだけが光りおり(ペンネーム「ギザギザ仮面」さん 45歳)
→「新月・トロフィー・光る」が「すべて「光」つながりでイメージの重なり、ありきたりな表現でおしい。読み方はさっぱりとしていてよい。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・金杯や三万人の後の月(ペンネーム「伊予吟会 宵嵐」さん 47歳)
→映像の気分というよりは、多くの人々の高揚感が詠みぶりから詩的に感じ取られてきて美しい句である。いわゆる抑制のきいた伝統的な詠み方をされるタイプなのであるが、ここは道場であるから、思い切った表現も見てみたい楽しみな方である。

・紅葉燃ゆ街真ん中に金の杯(ペンネーム「御衣黄」さん 47歳)
→カープファンの中心に据えられたトロフィーという気分がよく出てる。これくらい読めれば十分であろう。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・トロフィーに刻まれてゆく秋の空(ペンネーム「カープ女子黒ちゃん」さん 50歳)
→何より「トロフィーに刻まれてゆく→秋の空」という意外性がよい。普通は「トロフィーに刻まれてゆく→チーム名」である。そのようなありきたりの関係を引っ込めて、「秋の空」の美しさ・広がりに、優勝の季節感・高揚感・喜びを託したところが見事。この方向で。

・オリンポスの丘紅葉す優勝杯(ペンネーム「クローバー」さん 53歳)
→映像から飛躍した句であるが、高揚感がよく出ている。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・栄光のトロフィーかざす夏の空(ペンネーム「やんちゃん」さん 56歳)
→「栄光・トロフィー」もイメージの重なり・ありきたりな関係なのであるが、一番は大賞句のような一体感にとぼしいのが惜しい。「栄光のトロフィー揺れる夏の空」などもう少し自分に引き寄せて詠みたい。詠み方そのものは上手い。

・瀬戸の海金色に輝く優勝杯(ペンネーム「ひなじいさん」さん 63歳)
→中七が上下にかかる詠み方で言葉を働かせた上手い詠み方であるが、傍観の句で大賞句のような強い実感に乏しいのが惜しい。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・豊の秋トロフィー見つめをる鯉城(ペンネーム「痺麻人」さん 64歳)
→大きな詠み方で上手い句。喜びの気分もモノにじっくり託した。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・トロフィーの耀き眩し西日さす(ペンネーム「真夏のクリスマスローズ」さん 66歳)
→「トロフィ・輝き・眩し・西日」と「光」のイメージが重なりありきたりな関係が惜しい。しかし「トロフィー・西日」の対比はほどよい。映像の気分というようは句の気分寄りだが「トロフィーの立ちつづけたる西日かな」など。次回は映像とさらに一体となった気分の感じ取れる句を期待したい。

・花紅葉写すカップや日本一(ペンネーム「だいさん」さん 74歳)
→少し飛躍している感じだが、気分の出た句で美しい。やはり対象を傍観で詠んでいるのが惜しい。次回は対象とさらに一体となって詠みたい。

・トロフィーの天辺に沸く爽やかさ(ペンネーム「柱時計」さん 74歳)
→「爽やか」を秋の季語として詠んだのであろうがどうも中途半端である。素直に「トロフィーの天辺に沸くカープ女子」などと詠んでみたい。実感をどうつかまえるかが課題であろう。次回は対象とさらに一体となって詠みたい。

・秋空や勝ち星溢る優勝杯(ペンネーム「テッちゃん」さん 79歳)
→気分が出た句である。優勝杯から勝ち星があふれ出るという実感がいい。ただしこういう詠み方は観念的になるのでモノに託したい。「秋空の溢れてきたる優勝杯」など。このような詠み方でも気分は出るのではなかろうか。次回も挑戦を!

・セリーグのトロフィー覗く赤い羽根(ペンネーム「ありんす」さん 82歳)
→観察の句で映像の中に「赤い羽根」をつけた人を見つけたのであろうか。あるいは「そんな気がした」実感の句であろうか。いずれにしてもはっとした瞬間を上手くモノに託した。この方向で。

入選A

・フラッシュに金色弾けるVトロフィー(ペンネーム「スネイク」さん 14歳)
・秋雨やマダムも続く勇者の杯(ペンネーム「ルビー」さん 18歳)
・トロフィーに映る笑顔が列を成す(ペンネーム「かなせのせなか」さん 40歳)
・トロフィーが光り輝くカープV(ペンネーム「詩人たこらいす」さん 42歳)
・トロフィーや広島の空に実りおり(ペンネーム「叔父ちゃん」さん 44歳)
・人の手を渡るトロフィー秋収め(ペンネーム「菊池洋勝」さん 46歳)
・トロフィーになみなみ注ぐや赤ワイン(ペンネーム「角森」さん 49歳)
・秋晴や航海果てぬ金の杯(ペンネーム「モリババと40人の盗賊」さん 52歳)
・トロフィーや選手らの汗清々し(ペンネーム「ハラペコ」さん 57歳)
・トロフィーに映るもみじも赤くなり(ペンネーム「たけの子」さん 58歳)
・トロフィに真っ赤な紅葉舞い踊る(ペンネーム「是多」さん 63歳)
・セリーグのトロフィーに酌む新走り(ペンネーム「猫またぎ65」さん 65歳)
・秋晴れに原爆ドームとトロフィーと(ペンネーム「きいたん」さん 67歳)
・トロフィーに喜怒哀楽や燕立つ(ペンネーム「さくら」さん 68歳)
・トロフィーを掲げてみたき紅葉山(ペンネーム「ふー」さん 70歳)
・秋の日や優勝トロフィー歓喜の輪(ペンネーム「あしながおじさん」さん 71歳)
・感涙を集めて重し大トロフィー(ペンネーム「水彩少年」さん 71歳)
・トロフィーやカ−プ監督紅葉す(ペンネーム「みなと」さん 74歳)

入選B

・トロフィーはトランプタワーのティファニー製(ペンネーム「コンスタンチン」さん 11歳)
・赤と金秋を呼んだ セ界一(ペンネーム「鯉に恋する乙女」さん 18歳)
・17年待ってよかったV連覇(ペンネーム「せなまる」さん 19歳)
・生徒いう遊んでみたいトロフィーで(ペンネーム「優子先生」さん 34歳)
・腕高く熱き闘い杯掲げ(ペンネーム「みれりさママ」さん 35歳)
・ビールかけ誉れの杯を肴にす(ペンネーム「チャタロウ」さん 39歳)
・待ちわびたカープチケット手に入る(ペンネーム「ミミ」さん 40歳)
・カープ団ずっしり胸へとトロフィーが(ペンネーム「よこたん」さん 41歳)
・待っていた笑顔満開日本一(ペンネーム「天然さん」さん 42歳)
・セ界一次の目標日本一(ペンネーム「カープが一番」さん 43歳)
・歴史あるトロフィーを見て知る努力(ペンネーム「ようちゃん」さん 43歳)
・豊想い熱きおもいで皆えがお(ペンネーム「考え中」さん 46歳)
・Vトロフィー駅ビル群に競い勝つ(ペンネーム「ブルージャスニン」さん 47歳)
・栄光の陰に光る努力(ペンネーム「普通にありちゃんが好っきー」さん 47歳)
・いぶし銀磨き切ったる優勝杯(ペンネーム「すずらん村。」さん 55歳)
・ティファニーで乾杯カープV8(ペンネーム「マダム悦子」さん 55歳)
・真っ赤に燃えるプライド大回復(ペンネーム「よいとこ」さん 57歳)
・優勝杯広島秋の風物詩(ペンネーム「⑦パパ」さん 61歳)
・歓喜のさま紅葉谷にも似たりかな(ペンネーム「孫4人じぃじ」さん 61歳)
・秋色の天までとどけ鯉の華(ペンネーム「くればあ」さん 65歳)
・日々精進大衆前でトロフィ−が(ペンネーム「リュー」さん 68歳)
・トロフィーの赤の歓声金の月(ペンネーム「うり・ぴーママ」さん 69歳)
・大空へおかえりなさい千手の力(りき)(ペンネーム「グラン グラン」さん 69歳)
・広島は歓喜に燃へり曼珠沙華(ペンネーム「おちえもん」さん 70歳)
・爽やかに女神見つめる緋鯉かな(ペンネーム「水彩少年」さん 71歳)
・秋の夜の勝利の雄叫び赤き武者(ペンネーム「コウちゃんのじいじ」さん 72歳)
・トロフィーも歓喜も天に舞いに舞う(ペンネーム「匿名じいさん」さん 72歳)
・秋晴れや白球ドラマ完結す(ペンネーム「コスモス」さん 74歳)
・トロフィーの上下関係夜長かな(ペンネーム「めぐちゃん」さん 77歳)
・黄金のトロフィバットで高々と(ペンネーム「古志清右衛門」さん 77歳)
・大盃のビールに跳ねる緋鯉かな(ペンネーム「呆人」さん 77歳)
・セ界の光導く七戦の勝(ペンネーム「ワイ」さん)
・赤鯉が金杯に誉れ酔い(ペンネーム「鯉子」さん)

<ユニーク>※入賞に届かなかった句の中からちょっとホッとする面白い句をご紹介!

「祝杯に映る瞳は星のよう」
(ペンネーム「Dr.でぶ」さん 45歳)

「トロフィーの重みを背負ってCSへ!」
(ペンネーム「やまかぜファイブ」さん 54歳)

「秋の日に輝くトロフィーもうひとつ」
(ペンネーム「バーガーとうちゃん」さん 61歳)

「鯉に恋日本一を取って来い」
(ペンネーム「東広島のなそじい」さん 74歳)

入賞入選の皆様おめでとうございます。

◎次回のお題は「雨の球場、カープファンなど、映像を見て思い浮かぶ句」
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過去の放送内容