テレビ派

コーナー紹介

俳句道場

放送日:2017年4月28日(金)

第47回 お題「蜆」(選と評 谷村秀格先生)
<谷村秀格(たにむらしゅうかく)プロフィール>

句の「スケール感」や句の背後の「詩情の広がりや深さ」を重要視する『宇宙流俳句』のパイオニア。『宇宙流俳句会』主宰。1976年広島県東広島市安芸津町木谷生まれ、同町在住。句歴26年

総評

演歌や歌謡曲が好きであるが、歌手にもいろいろなタイプがある。
オリジナル曲を別の歌手が歌うことがあるが、そんな時皆さんも「これが同じ歌か」と驚かれることがあろう。
間違いなくオリジナルの歌手より上手いのであるが、味わいがなかったり、あるいはその逆だったり。
つまり、同じ曲といえども「歌の上手い人」と「歌を聴かせることのできる人」では世界観が異なるのである。
俳句も全く同様で、俳句の前提や常識のハードルをクリアしつつ「うまさ」で作る人と、俳句の常識(季語・切れ・文法)にとらわれず実感から詩そのものを詠い上げる人では、句の味わいが全く異なる。
もちろん私は、創作も指導も「聴かせる歌」の立場の代表格であるが、皆さんもそこを目指して頂きたいものである。
キーワードは「実感・無意識」であり、天敵は「理屈・理性・意識・常識・世間体」である。

今回も新しい方からのご応募を多くいただいたが、全体的に一人一句か二句の方が多かった。
また特選以上の句でも、今までのテーマと比べ、類想句や表現が熟していないものが多かった。
テーマが意外にも難しかったようである。
テーマを説明しようとしたり、体験や出来事があって、それを句にするというような方法で作句しようとすれば、日常「蜆」と関わる機会も少ないので、宍道湖などへの旅行の風景とか、しじみ汁を飲む風景ばかりになってしまうであろう。

俳句の基本は「寄物陳思(ものによせて思いをのべる)」。
あなたの経験や思いを17音の定型に省略して詰め込むのでは「なく」、衝動や実感を「モノを通して述べる」ことが他の詩との大きな違いなのである。
俳句はシナリオの引き算足し算ではなく、モノの掛け算や方程式(モノのキャスティング)のようなものである。
大賞句の「蜆鳴く」・入賞句の「親展」などには「寄物陳思」の良い方向が見える。
今回評が全体的に辛口になってしまっているのはご容赦願いたい。

大賞

「蜆鳴く月深海に引き落とす」(ペンネーム「ヨシ整体」さん 59歳)

俳句は詩であり、詩は芸術なので、俳句の常識(季重なり・切れ字の複数性・文法の正しさなど)や部分的なことよりも一句全体が芸術作品としてきちんと自立していることのほうが何より優先されるし大事である。
その観点から言えばこの句は、表現が熟し切れていないもどかしさ(「下五」の自己主張が強すぎる露骨な表現)や、やや類想の嫌いもあるものの、他の月並み・ただゴト句を寄せ付けないオリジナリティや実感、句から醸し出される非日常性などが勝っており、そこを評価したい。
ちなみにこの句の「蜆(春)」「月(秋)」の季語の点は、上記以前に不問である。
「蜆鳴く」は小さな「蜆」が水を吐くかすかな音のことであるが、それを「鳴く」と表現するところに日本に住む人の豊かな詩心を感じる。
芭蕉の「古池」の句を持ち出すまでもなくこの句も静寂の境地であるが、誰も知らない夜のしじまに、「蜆」に呼応するかのように大きな月が深海へと引き込まれる心象風景は、何とも幻想的であるが、一方でなぜかしらリアリティがある。
成長ホルモンなどの存在などを引きあいに出すまでもなく、「夜」は決して「無」的な存在ではなく、「ダイナミックな力が蠢いている」「力をためる」ことの象徴である。
ひとことで言ってしまえば句の奥に「宇宙そのものの生命力」のようなものが感じ取れてきて共感を誘う。
テクニカルな点から分析すれば、「蜆」と「月」という形の似たものの同士の大小の対比がよく効いている。
また、その形が単なる円形や三日月形ではなく「扇形」というところが何とも奥ゆかしい味わい深さを与えている。
そして、「湖」では「蜆」とイメージが「つきすぎ」になるのであるが、「深海」なので「つかずはなれず」の距離感をとっているところも上手い。
最初に述べたが「引き落とす」がどうにも強引・直接的な表現で惜しいところである。
例えば作者の意向とは違ってくるかもしれないが、素材を活かして少し客観的に「深海に月沈みゆく蜆かな」くらいにしてみたい。
いずれにしても「蜆」の常識から大きく飛躍したところで詩に仕立てたところが見事であった。
大賞おめでとうございます。次回もぜひチャレンジください!
<作句のポイント>
テーマから飛躍する。

入賞

「宍道湖の夕陽を飲み干すしじみ汁」
(ペンネーム「蓮子」さん 55歳)

この手の句は類句が多いのが難であるが、これはこれで実感と気分がよく出ており、また詠み方もなかなかしっかりしているので採った。
ある意味特選以下の句が少しものたりなかったともいえる。
ちなみに「夕陽」は季語ではないが「夕焼け」は夏の季語である。
聞くところによると「宍道湖」の夕方の風景は壮大で美しいらしい。
句であるが、「飲み干す」のは「しじみ汁」であり「宍道湖の夕陽」だという。
このような句の場合、頭・理屈・常識で句を作るなら「宍道湖の夕陽うつくし蜆汁」「宍道湖の夕陽を見つつ蜆汁」などとしたくなる。
しかしこのすると、「宍道湖の夕陽」と「しじみ汁を飲みほす作者」はあきらかに分かれており、対象との合一がない。
しかし原句のように「夕陽を飲み干す」と無意識からの実感を表現したことで、美しい自然の風景である「宍道湖の夕陽」と室内で「しじみ汁を飲み干す作者」という内外・主客が一体となった達観の境地が伝わってきて、味わい深い。
句の奥に感慨深い旅の喜びが伝わってきて共感を覚える。
それくらい印象的な景色であり「しじみ汁」であったのであろう。
ただし、この句も中七「夕陽を飲み干す」がやや熟し切れていない表現である。
「を」が説明的なので「宍道湖の夕陽飲み干すしじみ汁」としたい。
こちらのほうがより象徴的になり、「夕陽がしじみ汁を飲み干す」という解釈も生まれてきてイメージが豊かにある。
あるいは「飲み干す・汁」がつきすぎと考えるなら、意図は変わるが素材を活かして「宍道湖の夕陽飲み干すしじみかな」あたりでもよさそうである。
私の好みは後者である。
いずれにしても対象と一体となった無意識からの実感表現が光った一句でした。
入賞おめでとうござます。次回もぜひチャレンジください。
<作句のポイント>
「を・に」などの助詞は説明的になるので、気を付ける。

「親展の手紙ポストへ蜆喰む」
(ペンネーム「ハイカー」さん 59歳)

「親展」というのは「宛名となって いる人に封を切ってほしい」という意味であり、「喰む」というのは食べるという意味である。
「親展の手紙ポストへ」という緊張感のある出来事に対して、何の説明もなく日常の「蜆喰む」作者の食事風景しか提示されていないので、その関係性について、読者は一生懸命にその状況や心境を察しなければならない。
人生における緊張と緩和、緩急のコントラストがこの句の見どころであろう。
「親展の手紙」という打ち出しに対して、それに比例するような大きな物事をもってくると、句の意味は分かりやすくなるかもしれないが、芸術的には詩が死んでしまうのであって、作者はそのあたりのことをよく心得ているようである。
ただし、この句も前半部分が「親展・手紙・ポスト」とどうもつきすぎな印象で、もう少し練れる余地もありそうである。
いずれにしても発想のおもしろい一句である。
入賞おめでとうございます。次回もぜひチャレンジください
<作句のポイント>
緊張と緩和。これも宇宙の一側面である。

ユニー句 ※入賞に届かなかった句の中からちょっとホッとする面白い句をご紹介!

「しみじみと飲んでと願う蜆かな」
(ペンネーム「東広島のなそじい」さん)

「しじみ汁体に染みるしみじみと」
(ペンネーム「カープボーイ」さん 17歳)

「シジミ汁しみじみ飲めばしみじみと」
(ペンネーム「コロケロゲロス」さん 36歳)

今回は3句をご紹介。
どれも「しじみ」と「しみじみ」の響きを楽しんでいる句です。
最後の句「中七下五」などになると、八代亜紀さんの「舟唄」(阿久悠さん作詞)の一節そのものですね。
このような言葉遊びも楽しいものですが、さらに深い世界が俳句では表現できるので、その境地を目指して頑張りましょう。

入選句

特選

・朝靄の大あくびする蜆汁(ペンネーム「かぶきもの」さん 29歳)
→「朝靄・蜆舟」などならかなり平凡であるが、「蜆汁」で部屋の内外となり少し奥行きが出た。中七が安易な表現で惜しく全体的につきすぎであるが気分がよく出ている。

・黒鍵の浮かぶ夕日や蜆舟(ペンネーム「ももじろう」さん 34歳)
→全体的に整理されていないところが惜しいが、モノに託して自分らしく詠んでいるところが大変よい。この方向で。

・蜆貝銀河の音の時計かな(ペンネーム「あや」さん 49歳)
→どうも中七がマンガチックでおしい。厚みがほしい。この方向でいいのであるが、もう一歩突き抜けてほしい。どうアドバイスすればいいか私の課題でもある。

・防風林伸びゆく影や蜆汁(ペンネーム「カープ女子黒ちゃん」さん 50歳)
→最近ぐんと力をつけてこられた。「モノに託す・イメージの重なりを避ける」に留意されている様子である。少し素材が平凡であったがなかなかでこの方向でよい。

・メレンゲのつの萎えている蜆貝(ペンネーム「狐穴」さん 50歳)
→宇宙は広いのに「台所」の風景ばかりを熱心に詠んでしまい惜しい。しかし最近モノの世界に入ってきていて頼もしい方の一人である。次回は飛躍ある句を期待したい。

・高圧線吸い込まれゆく蜆川(ペンネーム「モリババと40人の盗賊」さん 51歳)
→なかなかの句。空と川の対比も効いているが中七で少し崩れた。実感に乏しいか表現が熟していないかのどちらかであろう。意図とは異なるであろうが素材はよいので「高圧線横抱きにして蜆川」など、しっかりと詩に昇華したい。

・銀河の底さらい続ける蜆船(ペンネーム「大福ママ」さん 53歳)
→「底さらい続ける蜆船」これはあたりまえのことである。何の底か「銀河」、つまり一ひねりの句なのである。言葉は美しく詩的で意味もよくわかるのであるがそれ故浅いのである。句の表面の美で勝負するのではなく、言いたい事をモノを通して詠みあげ、句からイメージされる世界で勝負したい。次回を期待したい。

・蜆漁はがね色なる鏡沼(ペンネーム「みなと」さん 女性 74歳)
→なかなか中七に実感が出ているが、「漁・沼」ではつきすぎであろう。そこを攻めてほしい。

・しじみ貝極彩色の陽明門(ペンネーム「柱時計」さん 74歳)
→よく一物仕立てだとか取りあわせだとかいうが、俳句は実感ある世界が何より大事なのである。この句の場合、単に取りあわせたという以上のものを感じない。そこを攻めてほしい。

・宍道湖の色を吐き出すしじみかな(ペンネーム「テッちゃん」さん 男性 79歳)
→なかなかの句であるが、どうにも中七がもう少し。「吐き出す→しじみ」の関係があたりまえで弱くした。「宍道湖の色抱えたる蜆かな」などであれば、もう一段奥深さがでそう。

・蜆船天を横切る飛行雲(ペンネーム「うり・ぴーママ」さん)
→「天・雲」がつきすぎであるが、「蜆舟・飛行雲」の素材は詩になりそうである。この方向で。

入選A

・しじみ汁奥歯で立てし風の音(ペンネーム「ルビー」さん 17歳)
→出来事を詠んだ分弱くなり惜しい。言いたい事をいうのにモノを通すのが他の詩との違いである。そこを攻めてほしい。

・しじみ汁沸き立つ湯気は母の愛(ペンネーム「分数大好き」さん 34歳)
→「上五中七」を「下五」で種明かししてしまって惜しい。手品の仕掛けではないが「母の愛」などは、句の奥にしまっておく方がいい。直接表現をさけてモノのキャスティングを意識されたい。

・ふるさとの夜空を描くしじみかな(ペンネーム「じゅんこバズ」さん 36歳)
→意味にとらわれて全体的に説明的になったのが惜しいが、気分がよく出ている。

・立ち昇る味噌の香りけふ蜆汁(ペンネーム「マコたんビーム」さん 36歳)
→出来事を省略して詰め込み窮屈になり惜しい。まだ「立ち上がる味噌の香りや蜆汁」などのほうがよい。また俳句では現在使われ将来も使われるであろう表記を選択したいので、現代仮名遣いをお勧めしたい。

・ばあちゃんの小さくうつるしじみ汁(ペンネーム「リリーアルビデオ」さん 36歳)
→全体的に甘く類想も多そうな点が惜しいが、何より実感が感じられてよい。それが詩の命である。次回はそれをオリジナルな観点にもっていきたい。

・首かざり潮の香りの蜆拾い(ペンネーム「よこたん」さん 40歳)
→全体的に甘くつきすぎで惜しい。詠んで意味が分かる句はわかる故に浅いのである。素直な詠み方はよい。

・蜆汁人口が減るニュース聞く(ペンネーム「夏川ゆう」さん 40歳)
→この句もやはり出来事の句で惜しい。上五と後半の関連に実感がどうも乏しい。早くモノ句の世界に入ってきてほしい方である。

・オーディション通過した日や蜆汁(ペンネーム「かつたろー。」さん 41歳)
→出来事の句で惜しい。モノに託して詠みたい。素材からの再考が必要。

・扇形艶やかな黒蜆汁(ペンネーム「詩人たこらいす」さん 42歳)
→蜆を説明しただけでそれ以上の深みが全くなく惜しい。またたどたどしい散文で痛々しい。宇宙は広いのに蜆ばかりに目が行っているので心が窮屈である。モノに託してのびのび詠むようにしたい。

・かぷかぷと蜆が嗤い砂を吐く(ペンネーム「花散る里」さん 43歳)
→すべて「蜆」に収斂されて惜しい。読者は「蜆」を説明してほしいのではなく、作者が「蜆」を通して世界をどう見ているかを感じたいのである。そこを攻めてほしい。

・一筋の涙曲がりしシジミかな(ペンネーム「ギザギザ仮面」さん 45歳)
→今回の句は観念的で惜しい。モノにしっかり託して実感ある世界を詠みあげてほしい。

・大橋を一緒に渡る蜆舟(ペンネーム「角森」さん 49歳)
→中七が平凡で惜しいが、モノに託して詠む姿勢はよい。この方向で。

・しじみ汁やさしさ運ぶ母の味(ペンネーム「ここしお」さん 50歳)
→すべてが「蜆汁」に収斂され惜しい。「母の味」などは直接言わないほうがいい。宇宙は広いので「しじみ汁」から飛躍して詠みたい。

・唐橋の雨音沸かす蜆かな(ペンネーム「一斤染乃」さん 53歳)
→全体的につきすぎで惜しい。

・朝未だき蜆桶からシンフォニー(ペンネーム「鯉こころ」さん 53歳)
→出来事を省略して詰め込んだコト句で惜しい。モノ句へ転換したい「蜆桶拾い上げたる楽譜かな」など。

・しじみ汁針の歩みを遅らせて(ペンネーム「雅」さん 54歳)
→中途半端な表現が惜しい。同じように時間をモノに託すのでも「しじみ汁ゆっくり回る地球かな」などとしてみたい。

・すれ違う新幹線や蜆舟(ペンネーム「ベルまま」さん 59歳)
→どうも感動が伝わってこないのが惜しい。そもそも実感のある世界を詠んでみてほしい。

・母しのぶ潮の香りのしじみ汁(ペンネーム「キートン」さん 60歳)
→「母しのぶ」など直接的な表現が惜しい。それを避けて詠むようにしたい。

・軽トラの声待ちわびてしじみ汁(ペンネーム「ひなじいさん」さん 62歳)
→何のことかよくつたわらず惜しいが「軽トラ・しじみ」はなかなかの素材。「軽トラの腹まだ熱き蜆かな」など。

・星屑が海に潜りし蜆かな(ペンネーム「俳句夢中おじさん」さん 63歳)
→説明的で惜しい。読者は説明してほしいのではなく感じさせてほしいのである。そこを攻めてほしい。

・故郷の味噌の香りのしじみ汁(ペンネーム「八重桜」さん 66歳)
→すべて「しじみ汁」に収斂され惜しい。ここから句にしたい。「ふるさとの鉄塔見えて蜆汁」など。

・蜆掻き竜宮城も浚いゆく(ペンネーム「きいたん」さん 67歳)
→散文では句にならないので韻文にもっていきたい。「竜宮城拾い上げたる蜆かな」など。

・水鳥もジオラマのごと蜆漁(ペンネーム「ヒロリン」さん 68歳)
→「水鳥」は冬の季語であるがそれは問題ではない。「も」が説明的で重いのが惜しい。「ジオラマの鳥のかたちの蜆舟」など。

・夕暮れや影絵のごとく蜆船(ペンネーム「おちえもん」さん 男性 69歳)
→比喩が効果的な場合とそうでない場合がある。効果的なのはやはりオリジナルな場合で月並みな比喩だと句が弱くなるので注意が必要である。「蜆舟くりだしてゆく影絵かな」

・川岸に迫るビル街蜆舟(ペンネーム「呑田」さん 70歳)
→川岸が不要である。「摩天楼ぶつかってゆく蜆舟」など大胆に詠みたい。

・懐かしき宍道湖の宿蜆汁(ペンネーム「あしながおじさん」さん 71歳)
→「懐かしき」と心情吐露したのが惜しい。素材を活かすなら「宍道湖のほとりの宿や蜆汁」くらいか。

・蜆採り掉さす空に千切れ雲(ペンネーム「水彩少年」さん 71歳)
→句が渋滞していて惜しい。「蜆採り棹さしこめる空の色」など、素材を整理したい。

・ゆらゆらと川上りゆく蜆舟(ペンネーム「遊泉」さん 73歳)
→すこし平凡で惜しいが軽い詠み方が味わい深い。

・満ち潮と砂の声聞く蜆船(ペンネーム「だいさん」さん 74歳)
→理屈っぽくて惜しいが、句になっている。次回はもっと飛躍したい。

・味噌の香や湖畔の宿の蜆汁(ペンネーム「めぐちゃん」さん 76歳)
→世界が平凡で惜しいが句になっている。次回はもっと飛躍したい。

・朝霧で墨絵のごとし蜆とり(ペンネーム「三休です」さん 77歳)
→平凡で惜しいが句になっている。次回はもっと飛躍したい。

・宍道湖の朝の始まる蜆採(ペンネーム「ありんす」さん 81歳)
→平凡で惜しいが句になっている。次回はもっと飛躍したい。

・しじみ汁太平洋をいとまごい(ペンネーム「ワイ」さん 53歳)
→下五に自己主張が強く出すぎで惜しいが、大きく詠もうとする姿勢はよい。

・蜆売澄んだ空気に通る声(ペンネーム「チェリーブラッサム」さん)
→「蜆売り」を説明してしまっていて惜しい。すべて「蜆売」に収斂されるので、後半はそこから飛躍したい。

・上り線夕日手に乗せしじみ舟(ペンネーム「華みづき」さん)
→中七の表現が熟してないが、なかなか実感のある。この方向で。

入選B

・悩める子口をパクパクしじみかな(ペンネーム「たなばたちゃん」さん 21歳)
・沈んでるしじみ数えて元気だす(ペンネーム「金柑」さん 21歳)
・しじみ汁宿酔飛ばす小宇宙(ペンネーム「まるたろう。」さん 27歳)
・夢に見る田螺と逢瀬蜆かな(ペンネーム「ともママ」さん 30歳)
・蜆様呑んだら頼るあなただけ(ペンネーム「マーフィーママ」さん 39歳)
・泥臭いプレーで勝る蜆かな(ペンネーム「菊池洋勝」さん 45歳)
・蜆汁飲みほす舌に蜆くる(ペンネーム「ブルージャスニン」さん 46歳)
・虫が付くしじみをじっと見つめる子(ペンネーム「普通にありちゃんが好っきー」さん 47歳)
・吾子思いみそ汁の底干し蜆(ペンネーム「たいの まこ」さん 50歳)
・常連と啜る女将のしじみ汁(ペンネーム「ハラペコ」さん 56歳)
・赤子抱く娘のお膳にしじみ汁(ペンネーム「ゆきんこ」さん 58歳)
・母さんが蜆つまんで笑ってる(ペンネーム「桐山榮壽」さん 60歳)
・しじみ汁未来永劫味わえる(ペンネーム「リュー」さん 67歳)
・大空よなまりなれたかしじみ汁(ペンネーム「グラン グラン」さん 68歳)
・ごしごしと背中こするや蜆採り(ペンネーム「匿名じいさん」さん 72歳)
・その底に小石の混じる蜆船(ペンネーム「かりん」さん 74歳)
・しみじみと縮みちぢみて蜆かな(ペンネーム「呆人」さん 75歳)
・水門の内は蜆の墓場かな(ペンネーム「古志清右衛門」さん 76歳)

選者詠:谷村秀格

・大ぶりの蜆居すわる童子かな
・うつしき夢病んでいる蜆舟
・しじみ汁ななめに冷える浄土かな
・子蜆のわきつづけては神の足
・纏いゆく手足重たき蜆かな
・しんがりに嘘まぎれこむ蜆汁

入賞入選の皆様おめでとうございます。

◎次回のお題は「鯉幟(こいのぼり・五月鯉・吹流し・矢車など)」。
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過去の放送内容